「VTuberは伸びている」という話は、hololiveやにじさんじといった大手の数字を見れば納得しやすい。ではジャンル全体としてはどうなのか。Rosterは日本のVTuberチャンネル1,490件について登録者数を毎日記録しているので、その実データで検証してみる。結論から言うと、ジャンル全体では特別に伸びているとは言えなかった。伸びているのは上位のごく一部で、中位のチャンネルはほぼ横ばいだった。
まず規模の実態から。収録している1,490チャンネルの登録者数を合計すると2億2,550万人になる。平均は15.1万人だが、これは一部の巨大チャンネルに引っ張られた数字だ。中央値を取ると6,385人しかない。登録者100万人を超えるチャンネルは69件(全体の4.6%)で、逆に1万人未満が804件(54.0%)を占める。つまりVTuberというジャンルの半分以上は、登録者1万人に届いていないチャンネルで構成されている。大手の印象から想像する分布とは、かなり違う姿だ。
次に伸び方を見る。記録が5回以上あり、追跡期間が20日以上あるチャンネル1,300件を対象に、最初の記録と最新の記録を比べた(平均の追跡期間は36日)。この期間の伸び率は、中央値で+0.6%だった。同じ条件・同じ期間でRosterの他ジャンルと比べると、VTuberは27ジャンル中10位にあたる。上位はハウツー(+6.7%)、スポーツ(+5.7%)、ペット(+3.0%)で、VTuberはこれらより明確に下だった。「VTuberが特に伸びているジャンル」という位置づけには、少なくともこの期間のデータでは当てはまらない。
ジャンル全体の増加は合計178万人だった。ただしこの増加は均等に分配されていない。増加数の多い順に並べたとき、上位10%にあたる130チャンネルだけで141万人分、つまり全体の79.2%を占めていた。上位10チャンネルだけでも25.8万人(14.5%)にのぼる。残りの9割のチャンネルが分け合っているのは、増加分の2割ほどということになる。
「伸びている」の意味が規模によって全く違う点も、データにはっきり出ている。たとえば御子神琴音(にじさんじ)は13.4万人から16.6万人へ+3.2万人で、伸び率は+23.9%だった。一方、轟はじめ(ReGLOSS)は120万人から123万人へ+3.0万人。増えた人数はほぼ同じ3万人だが、伸び率は+2.5%にとどまる。増加数で並べれば両者は同じ順位帯に来るが、勢いという意味では10倍近い差がある。Rosterが急上昇ランキングで絶対数ではなく伸び率を採用しているのは、この違いを見えるようにするためだ。
減少しているチャンネルもある。ただしここは注意が必要で、YouTubeのAPIは登録者数を有効数字3桁に丸めて返すため、小規模なチャンネルでは実際の増減が数字に現れない。単純に「前回より減った」で数えると177件になるが、そのうち104件は丸めの誤差の範囲内(0.5%以内)だった。誤差を超えて実際に減少していたのは73件で、内訳は10万人以上が11件、1万〜10万人が40件、1万人未満が22件だった。1,300件のうち約6%が実質的に登録者を減らしていたことになる。
まとめると、この期間のVTuberジャンルは「全体が伸びている」のではなく「上位が伸びていて、中位以下は横ばい」という形だった。発掘ゾーン(登録者1万〜30万人)に目を向けると、12星座VTuber企画が5.08万人から6.93万人へ+36.4%、ぶいびぃ【Vtuber切り抜き】が1.21万人から1.56万人へ+28.9%と、大きく伸ばしているチャンネルも確かに存在する。こうした個別の動きはRosterの成長率ランキングで日々追える。なおこの検証はチャンネル単位の集計値のみに基づいており、伸びた理由・減った理由については判断していない。
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