チャンネルの説明欄(チャンネルについて、の欄)が空のままのチャンネルを見て「手を抜いている」と感じたことがある人は多いはずだ。だが実際にそのチャンネルの再生数や登録者が伸びているなら、説明欄の有無はどれくらい意味を持つのか。Rosterはチャンネルの説明欄の文字列を記録しているので、登録者の伸びと突き合わせて確かめてみた。対象は登録者1万人以上・記録5回以上のチャンネル9,727件(説明欄あり7,248件、説明欄が空または未設定2,479件)。
結果は、伸び率の中央値でみるとほぼ差がなかった。説明欄ありが+1.47%、説明欄なしが+1.39%で、その差は0.08ポイント。むしろ「実際に登録者が増えたチャンネルの割合」では、説明欄ありが74.3%だったのに対し説明欄なしは74.9%と、わずかながら説明欄なしの方が高かった。説明欄が空だから伸びない、という単純な関係は今回のデータには出ていない。
この結果が特定の規模のチャンネルだけの話ではないかを確認するため、登録者の規模帯ごとに分けて同じ集計をした。1万〜10万人の帯では説明欄あり+1.94%・なし+1.86%とほぼ並ぶが、10万〜100万人の帯では+1.46%・+1.03%、100万人以上の帯では+0.75%・0.00%と、規模が大きくなるほど説明欄なしの伸びがやや低く出る傾向が見えた。ただし100万人以上で説明欄が空のチャンネルは67件と母数が少なく、この帯の数字は参考程度に留めておく必要がある。
説明欄の有無はジャンルによっても大きく偏っていた。ASMR(91.2%)、ダンス(90.6%)、鉄道(84.2%)、パチンコ・スロット(82.7%)、キッズ・ファミリー(76.3%)、フィットネス・健康(75.1%)は説明欄が空のチャンネルの比率が高いジャンルだった。これらは音や映像そのもの、あるいは個人の趣味や記録として投稿されることが多いジャンルで、チャンネルの背景を文章で説明する慣習自体が薄い可能性がある。逆に言えば、説明欄の有無は「手を抜いているか」よりも「そのジャンルの投稿文化」を反映している面が大きいと考えられる。
数字の読み方には注意点がある。まず、伸び率の差(0.08ポイント)はYouTube APIが登録者数を有効数字3桁に丸めて返す仕様の影響を受けやすいほど小さく、実質的な差はほぼ無いとみるのが妥当だ。また今回見ているのはチャンネル単位の登録者推移のみで、動画の企画・編集・サムネイルといった中身の質はRosterのデータでは評価できない。説明欄という「見た目の手間」と、視聴者が実際に評価している「中身」は別物であり、今回のデータが示しているのは前者が後者の代わりにはならない、というところまでだ。
まとめると、少なくともこのデータの範囲では「説明欄が空だから伸びない」とは言えない。大規模チャンネルになるほど差がやや開く可能性はあるが、そこはサンプルが少なく確定的なことは言えない。説明欄を書き込む労力より、動画そのものの中身に時間をかけているチャンネルが一定数あることが、今回の数字からはうかがえる。個別のチャンネルの推移はRosterの各チャンネルページで確認できる。
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