「投稿頻度を上げれば伸びるのか」はYouTubeを続けるうえで最もよく出てくる問いのひとつだが、まとまった実データで確かめた話はあまり見かけない。Rosterは日本のYouTubeチャンネルについて登録者数と動画本数を毎日記録しているので、その両方を突き合わせて検証してみた。対象は記録が5回以上あり追跡期間が20日以上あるチャンネル20,024件(平均の追跡期間は45.1日)。期間中に増えた動画本数ごとにグループを分け、登録者の伸び率を比べている。
結果は次のようになった。期間中に動画が1本も増えなかったチャンネル(9,167件)は伸び率の中央値が0.00%。1〜5本増えたチャンネル(3,131件)は+0.93%、6〜20本(3,523件)は+1.46%、21本以上(4,203件)は+2.46%だった。「実際に登録者が増えたチャンネルの割合」で見ても差ははっきりしていて、投稿0本のグループでは32.9%だったのに対し、1〜5本で72.2%、6〜20本で82.6%、21本以上では87.6%に達している。投稿本数が多いグループほど、伸び率も、伸びたチャンネルの割合も高いという結果になった。
ただしこれだけでは「規模の大きいチャンネルほど投稿本数が多く、単に大きいから伸びているだけ」という可能性が残る。そこで登録者の規模帯ごとに分けて同じ集計をしたところ、どの規模でも同じ傾向が出た。登録者1万人未満では0本が0.00%、1〜20本が+2.10%、21本以上が+5.60%。1万〜10万人では0.00% / +1.16% / +4.93%。10万人以上では0.00% / +0.58% / +1.06%。規模を揃えても投稿本数の多いグループの方が伸びており、規模だけで説明はできない。なお規模が大きくなるほど全体の伸び率が下がるのは、母数が大きいぶん同じ人数を増やしても率が小さくなるためで、これは別の記事で扱った「伸びの偏り」とも整合する。
一方で、この結果を「投稿を増やせば伸びる」と読むのは行き過ぎになる。逆の例が相当数あるからだ。21本以上投稿した4,203件のうち、523件(12.4%)は登録者が増えておらず、155件(3.7%)はむしろ減っている。反対に、動画が1本も増えなかった9,167件のうち3,015件(32.9%)は登録者を伸ばしている。投稿を増やしても伸びないチャンネルも、投稿しなくても伸びるチャンネルも、どちらも珍しくない。
数字の読み方でもうひとつ注意がいる。YouTubeのAPIは登録者数を有効数字3桁に丸めて返すため、小規模なチャンネルでは実際の増減が数字に現れない。投稿0本のグループの中央値がちょうど0.00%になっているのは、半数以上が「変化なし」と記録されたためで、この中には丸めに隠れた小さな増減が含まれている。したがって0本グループの実態は、厳密には「伸びていない」ではなく「測定できるほどは動いていない」と読むのが正確だ。
まとめると、このデータから言えるのは「投稿本数が多いチャンネルほど、伸びている割合も伸び率も高い」という対応関係があることまでで、投稿さえ増やせば伸びるという因果までは示していない。Rosterが追跡しているのはチャンネル単位の集計値のみで、動画の内容・尺・企画・外部からの流入といった要素は見ていない。個別のチャンネルがどう推移しているかは、Rosterの成長率ランキングや各チャンネルのページで日々確認できる。
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