「YouTubeの動画は何分くらいがいいのか」「8分や10分を超えたほうがいいのか、短いほうが最後まで見てもらえるのか」は、動画を作る人がよく迷う問いだ。Rosterは日本のYouTubeチャンネルの動画ごとの長さと再生回数を記録しているので、動画の長さと再生回数の関係を調べた。
長さごとの再生回数をそのまま比べると、大きなチャンネルがよく作る長さほど数字が大きく出てしまい、長さそのものの影響が分からない。そこで1本1本の動画を「同じチャンネルのほかの動画の再生回数(中央値)」と比べ、それを上回ったかどうかを数えた。長さに関係がなければ、どの長さでも「いつもより多く再生された割合」はおよそ50%になる。
この条件で比較に使えたのは1,333チャンネル・動画8,973本。公開日は主に2026年3月中旬〜6月末。
まず、比較に使う前の動画全体(3,415チャンネル・14,497本)で長さの分布を見ると、真ん中の値は16.9分だった。いちばん多いのは10〜15分(19.5%)で、20〜30分(17.4%)、15〜20分(14.6%)が続く。8分以下の動画は合わせて14.8%しかない。
| 動画の長さ | 本数の割合 | 再生回数の中央値(そのまま) |
|---|---|---|
| 3〜5分 | 7.4% | 1,975回 |
| 5〜8分 | 7.4% | 1,524回 |
| 8〜10分 | 9.2% | 5,053回 |
| 10〜15分 | 19.5% | 5,915回 |
| 15〜20分 | 14.6% | 8,402回 |
| 20〜30分 | 17.4% | 14,043回 |
| 30〜60分 | 13.2% | 15,777回 |
| 60分超 | 11.2% | 5,794回 |
チャンネルの規模ごとに「そのチャンネルがふだん作っている長さ」(60分以下の動画の中央値)を出すと、登録者1,000〜1万人のチャンネルは13.6分、1万〜10万人は16.1分、10万〜100万人は18.4分、100万人以上は20.0分で、大きなチャンネルほど長めに作っていた。
上の表のとおり、そのままの再生回数は20〜60分の動画が3〜5分の動画の7倍以上ある。ただしこれは、長い動画を作っているのが大きなチャンネルに多いことの影響が大きい。実際、20〜30分の動画を出したチャンネルの登録者数(中央値)は2.8万人で、5〜8分(7,230人)の約4倍だった。
| 動画の長さ | 本数 | いつもより多く再生された割合 |
|---|---|---|
| 3〜5分 | 486 | 42.2% |
| 5〜8分 | 617 | 44.6% |
| 8〜10分 | 819 | 46.4% |
| 10〜15分 | 1,944 | 47.9% |
| 15〜20分 | 1,463 | 50.5% |
| 20〜30分 | 1,698 | 52.2% |
| 30〜60分 | 1,187 | 53.8% |
| 60分超 | 759 | 48.1% |
同じチャンネルの中で比べても、3〜5分の42.2%から30〜60分の53.8%まで、長くなるほど「いつもより多く再生された割合」が少しずつ上がった。60分を超えると48.1%に下がるが、ここには生配信のアーカイブが多く含まれる。60分以下の動画だけで集計し直すと(1,156チャンネル・7,662本)、3〜5分は41.6%、30〜60分は55.7%で、同じ傾向だった。
公開からの日数で分けても、30〜90日の動画は3〜5分38.9%→30〜60分51.3%、90〜180日の動画は46.3%→59.7%と、どちらも長いほど高かった。
長さの「絶対値」よりはっきり差が出たのは、そのチャンネルがふだん作る長さと比べて長いか短いかだった。60分以下の動画について、各動画の長さを「同じチャンネルの動画の長さの中央値」で割って分けた。
| ふだんの長さと比べて | 本数 | いつもより多く再生された割合 |
|---|---|---|
| 半分未満 | 233 | 31.3% |
| 半分〜0.8倍 | 1,199 | 36.9% |
| ほぼいつも通り(0.8〜1.25倍) | 4,854 | 50.1% |
| 1.25〜2倍 | 1,118 | 60.0% |
| 2倍以上 | 258 | 58.1% |
ふだんより1.25〜2倍長い動画は60.0%がいつもより多く再生され、反対にふだんより短い動画(0.8倍未満)は31〜37%にとどまった。この差は、登録者1,000〜1万人(1.25〜2倍で59.9%)、1万〜10万人(60.3%)、10万〜100万人(60.6%)のどの規模でも同じように出た。ジャンル別に見ても、料理・グルメ(65.1%)、アウトドア(67.9%)、ゲーム(60.6%)、教育・学習(60.2%)、農業・田舎暮らし(57.0%)、怪談・ホラー(55.2%)と、件数の多い6ジャンルすべてで「1.25〜2倍」が50%を上回った。
長い動画が有利に見えるのが、別の理由で説明できてしまわないかを2つ確かめた。1つ目は公開からの日数で、長さの区分ごとの日数の中央値は68〜73日とほぼ同じだった。2つ目は「チャンネルが成長するにつれて動画も長くなった」可能性で、比べる相手を公開日が前後30日以内のほかの動画だけに絞っても、ふだんより1.25〜2倍長い動画は60.5%、短い動画(半分〜0.8倍)は36.9%と結果は変わらなかった。
一方で、当てはまらない例もある。登録者100万人以上のチャンネルでは、ふだんより1.25〜2倍長い動画が50.0%、2倍以上が36.4%で、長いほど有利という傾向は見えなかった(ただし22本・11本と少ない)。教育・学習ジャンルでは、ふだんの半分未満の短い動画が61.5%と高かった(13本)。また、2倍以上長い動画(58.1%)は1.25〜2倍(60.0%)より上がっておらず、「長ければ長いほどよい」わけではない。
まとめると、このデータでは「同じチャンネルの中では、ふだんより長めの動画のほうが再生されやすく、短く切り上げた動画は再生されにくい」という対応関係が、規模・ジャンル・時期を変えても安定して出た。ただし、これは長くすれば再生回数が増えるという因果を示すものではない。たとえば、ネタが豊富で手間をかけた回やコラボ・特別企画の回ほど自然に長くなり、それが再生回数の多さにつながっている、という作る側の事情が混ざっている可能性が高い。逆に、短い回はネタが薄かったり、急いで出した回だったりするのかもしれない。
また、ここで見ているのは日本の登録者1,000人以上のチャンネルの、2026年3月〜6月ごろに公開された動画だけで、長さを変えたときに視聴者が最後まで見たかどうか(視聴維持率)は分からない。何分にするかは、中身に必要な長さを優先し、YouTubeの分析画面(アナリティクス)でどこで見るのをやめられているかを確かめるのが確実だ。各チャンネルの登録者の推移はRosterのランキングやチャンネルページで確認できる。
Q. YouTubeの動画は何分がいい?
日本のチャンネルが作っている通常の動画の長さは、真ん中の値が16.9分で、いちばん多いのは10〜15分だった。同じチャンネルの中で比べると、15分を超える動画のほうがいつもより再生されやすかった(15〜20分50.5%、20〜30分52.2%、30〜60分53.8%)。ただし差は数ポイントで、中身に合った長さが前提になる。
Q. YouTubeの動画は短いほうが見られる?
今回のデータでは逆だった。同じチャンネルの中で比べると、3〜5分の動画がいつもより多く再生された割合は42.2%で、長い動画より低かった。そのチャンネルのふだんの長さより短い動画も31〜37%にとどまった。
Q. 10分以上の動画にしたほうがいい?
8〜10分の動画は46.4%、10〜15分は47.9%で、10分を境に大きく変わることはなかった。長さが増えるにつれて少しずつ上がる、なだらかな傾向だった。
Q. 長尺動画(30分以上)は伸びる?
30〜60分の動画は、同じチャンネルのいつもの再生回数を上回った割合が53.8%(60分以下だけで集計すると55.7%)と、長さの区分の中でいちばん高かった。60分を超えると生配信のアーカイブが多くなり、48.1%に下がった。
Q. 登録者数が多いチャンネルは何分の動画を作っている?
チャンネルがふだん作っている長さ(中央値)は、登録者1,000〜1万人で13.6分、1万〜10万人で16.1分、10万〜100万人で18.4分、100万人以上で20.0分だった。大きなチャンネルほど長めに作っている。
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